アガリクス茸にも大量に含まれていて、生体調節機能を改善する力を持っていて、私たちの体の免疫力を高める働きをしてくれるものは、どのような物質なのでしょうか。
一言で言うと、きのこの有効成分は、きのこやその菌糸成分である多糖にあります。多糖や酵素・ビタミン類などがバランス良く配合されていて、細胞の活性化を助け細胞間の強調をはかり、免疫機能を調整・賦活して悪性腫瘍を抑制したり、さまざまな病気に効果をもたらすという素晴らしい働きをしてくれているのです。
ここで多糖について少し触れておくと、糖類は、その構造からいくつかの種類に分けられます。その中で最も簡単な形をしているのが「単糖」といわれるものです。これは、これ以上の加水分解により、それ以上簡単な分子になれない基本的物質です。私たちにもおなじみのブドウ糖などは、この単糖類です。この単糖類が二分子グルコシド結合した糖が、「二糖」といわれるものです。これには、同種の単糖からなるホモ・ニ糖があります。
そして、それ以上に糖が脱水縮合して生じたものを「多糖」といいます。この多糖のうち、つながった糖が10個以上のものが、オリゴ糖と呼ばれています。さて、きのこ菌糸に多く含まれ、生体調節機能を果たしてくれている物質が、グルカンと呼ばれるものなのですが、グルカンはD−グルコースから構成される多糖で天然中最も多量に分布するが、すべてD−グルコビラノース残基より成り、β−グルカンには1→4、1→3、1→6結合も含まれています。その内で大切なものは、β−(1-3)及び(1-6)D−グルカンという多糖です。それでは、その単なる糖でしかないβ−(1-3)及び(1-6)D−グルカンが、なぜ悪性腫瘍や糖尿病や免疫機構の改善などに効くのでしょうか。実に不思議に思えてきます。
それは、このβ−(1-3)及び(1-6)D−グルカンは、きのこ内で蛋白質と結びついて、グルコプロテインという糖蛋白を形成することに関係してきます。結果的には、この糖蛋白が何らかの形で免疫のシステムに関与してレンナチンも多糖で基本構造はβ−(1−3)−グルコピラノシド結合をなす直鎖のグルコース5残基に対して、二個のβ−(1−6)グルコピラノシド分枝を持つものです。T細胞アジュバントとしての作用、マクロファージの活性化、補体第二経路の活性化・発癌抑制などの作用が知られています。もちろん作用を発揮するために大切なことは、茸に含まれる酵素・核酸などの協調作用が必要ということです。「アガリクス茸」にはこれらの含有量が他よりも多いということです。(漢方薬を数種組み合わせ、個人差を考え、量を調整して免疫力を高めようとする方法もありますが意味も異なり、作用も異なります。)

キノコ名 一日の投与量 全治率 阻止率
アガリクス茸 10mg 90.0% 99.4%
チヨレイマイ茸 10mg 90.0% 98.5%
メシマコブ茸 30mg 87.5% 96.5%
キコブ茸 30mg 66.7% 87.4%
カイガラ茸 30mg 57.1% 70.2%
マツ茸 30mg 55.5% 91.3%
マイ茸 30mg 54.5% 80.7%
カワラ茸 30mg 50.0% 77.5%
ヒラ茸 30mg 45.5% 75.3%
コフキサルノコシカケ茸 30mg 45.5 64.9%
ツガサルノコシカケ茸 30mg 33.3% 61.2%
ベッコウ茸 30mg 30.3% 44.2%
ナメコ茸 30mg 30.0% 86.5%
エノキ茸 30mg 30.0% 81.1%
マンネン茸 30mg 20.0% 77.8%
(きのこ類の抗癌性試験:東京大学医学部、国立がんセンター、東京薬科大学等における制癌試験)


この表から分かるように全治率、制癌率共に高い値を示したのがアガリクス茸でした。(実験は生後5週令♂・♀のマウスを使用)このマウスの大腿部にサルコーマ180(癌細胞の種類)を接種すると、4〜5週間で癌が体全体に広がり、ほとんど全部が死亡するのです。きのこのエキス投与は、この癌細胞がマウスに生着したのを確認して24時間後から投与を開始し、10日間投与し続けて、4〜5週間後の成果を見るのです。この試験をマウス10匹一群として何回も繰り返してその平均値を%で表されたものです。阻止率は、全治したマウスに再びサルコーマ180を接種しても生着しない率のことです。